日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS

GNH勉強会(第7回~第12回)報告

ブータンにおけるGNHの最近の動向を学ぶことを主目的に、GNH研究所のプロジェクト(分科会)として、2013年4月より毎月1回「GNH勉強会」を開催してきました。おかげさまで全12回が無事終了しましたので、ここに後半の勉強会(第7回~第12回)の報告をさせていただきます。

※前半(第1回~第6回)の報告に関しては、ニュースレター第7号をご参照ください。

●第7回GNH勉強会
・日時:2013年10月12日(土) 10:00~12:00
・場所:早稲田大学 4号館202教室
・「GNHとGNH教育―ブータンにおける新たな教育の展開とその限界―(中編)」平山 雄大

近年、ブータン内外で話題になっているGNH教育(Educating for GNH)を理解する前段階として、第4回勉強会に続き、ブータンの近代学校教育史を紐解きました。具体的には、第1次5ヵ年計画(1961年)開始以降の教育事情を、主に5ヵ年計画における教育政策を分析することによって解明することを試みました。

●第8回GNH勉強会
・ 日時:2013年11月23日(土) 10:00~12:00
・ 場所:山本けいこ氏自宅
・ 「ブータン遠隔地の人々と生活様式―メラ・サクテン・トレッキングを通して―」山本 けいこ

第8回勉強会は、GNH研究所研究員の山本けいこさんにご発表いただきました。多様な側面を持つブータンに着目するうえで地理的な広がりを考慮することは不可欠であり、それは「ブータンにおけるGNH」を理解するうえでも避けては通れないものでしょう。同勉強会は、2013年9-10月のメラ・サクテン・トレッキング時に撮影された写真・映像を通して、遠隔地に暮らす人々やその生活様式についての理解を深める絶好の機会になりました。

●第9回GNH勉強会
・ 日時:2013年12月14日(土) 15:00~17:00
・ 場所:早稲田大学 16号館606教室
・ 「GNHをかかげるブータンの観光産業の現状と課題」手島 直幸

第9回勉強会は、GNH研究所会員の手島直幸さんに、債務専門家としてのご経験をもとにしたブータンの経済成長戦略とGNHの関わり、また同勉強会の前月(2013年11月)にティンプーにて開催されたツアーオペレーター・ワークショップを通して見えた観光産業とGNHの関わり等についてお話いただきました。詳細なデータと深い考察をもとにされたご発表は説得力があり、今後のブータンを考えるうえで非常に有意義な勉強会となりました。

●第10回GNH勉強会
・ 日時:2014年1月11日(土) 10:00~12:00
・ 場所:早稲田大学 16号館606教室
・ 「GNHとGNH教育―ブータンにおける新たな教育の展開とその限界―(後編)」平山 雄大

第4回勉強会及び第7回勉強会で明らかにしたブータン近代学校教育史をふまえ、前半では主に2009年と2010年の動きを通して、GNH教育導入までの流れを把握しました。後半はGNH教育を巡る取り組みに関して、GNH学校(GNH School)の特色を示す尺度、GNH評価シート、授業案・活動案等をもとに批判的に検討しました。また、ブータン国内においてGNHの解釈の拡大化現象が起きていること等について議論がなされました。

●第11回GNH勉強会
・ 日時:2014年2月8日(土) 15:30~17:00
・ 場所:JICA市ヶ谷ビル 国際会議場
・ 「GNH言説の検討」平山 雄大

●第12回GNH勉強会
・ 日時:2014年3月16日(土) 10:00~12:00
・ 場所:ブータン日本語学校(於:ティンプー)
・ 「徹底検証 GNHの誕生・広がり(remix)」平山 雄大

上記2回の勉強会は、2013年3月に開催されたGNH研究所東京定例会合での平山の講演「徹底検証 GNHの誕生・広がり」(ニュースレター第5号を参照)を、これまでのGNH勉強会での発表・議論をもとに深化させたものとなりました。GNHが対外的に紹介された年月の割り出し、第4代国王がその構想に至った背景、GNHの国際的認知と国内的認知(ブータン国内での認知)との連動性等、内容は多岐に渡りました。第11回勉強会は日本ブータン友好協会第34回通常総会後の「お話の会」として開催されました。また、第12回勉強会は昨年8月の第5回勉強会以来2度目のティンプー開催となりました。

勉強会は終了となりますが、今後も随時情報をアップデートしていきたいと思っております。発表者の皆様、参加者の皆様、どうもありがとうございました。

文責 平山 雄大(GNH研究所 東京事務局)

※GNH研究所『GNH研究所 ニュースレター』第8号、7頁より転載。