日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS

2018年度ブータン勉強会報告

日本ブータン研究所 平山 雄大

2013年4月から「毎月最低1回」のペースで開催しているブータン勉強会は、おかげさまで6年目も無事に終え、同時に通算100回を達成することができました。これまで同様、2018年度も友好協会会員の皆さまには多数ご参加・ご発表いただきました。いつも勉強会を盛り上げてくださりどうもありがとうございます。

2018年度ブータン勉強会発表題目・発表者一覧(リンク)

2018年度は全18回のうち、宮城県(仙台市及び気仙沼市)での開催が3回、島根県(海士町)での開催が3回、ブータン(タシガン県、ティンプー県、パロ県)での開催が3回ありました。宮城県開催のうち第88回(6月9日)は「第6回ブータンフォーラム」、第90回(7月15日)は「第7回ブータンフォーラム」とのコラボ開催で、フォーラムを主催された日本ブータン刺繍協会の菊池多絵さん(同協会代表理事)やゆかりの皆さまが発表してくださいました。海士町での3回―第89回(6月9日)、第94回(9月18日)、第97回(12月8日)―は私の出張中や早稲田大学の国内実習科目「海士の挑戦事例から学ぶ地域創生」引率中に開催したもので、発表者は島根県立隠岐島前高校のスーパーグローバルハイスクール事業「グローバル探究(ブータン)」参加者、プナカのクルタン中学校から同校に進学したウゲン・チョディ(野口ウゲンチョデイ)さんら。ブータンでは井上理絵さん、仲島久美子さん、鈴木洋子さん、小川名愛さん、益田寛子さんといった各地で活動されているJICA青年海外協力隊・シニア海外ボランティアの方々にご発表いただき、早稲田の学生を交え活発な質疑応答・意見交換を行いました。

2018年度は若手の活躍が顕著で、発表者の半数は10~20代でした。特に、上記のスーパーグローバルハイスクール事業をはじめとして高校生や大学生がブータンを訪問する機会はここ数年で確実に増えています。ブータン勉強会は彼らの経験や気づきを一過性のもので終わらせず、次に繋げられるような役割も果たしたいと考えています。全体を通しては知識や経験を異にする方々が入り乱れ、ブータン勉強会の主目的である「発表者・参加者共に学び合える情報交換・意見交換・相互研鑽の場の創出」を、6年目もある程度実行できたのではないでしょうか。

2019年2月10日には、早稲田大学にて第100回勉強会を開催しました。その際にそれまでの100回分の勉強会を振り返ったところ、発表は合計143件、発表者は合計171人(143組)。発表件数は2018年度が一番多く、また143件のうち約9割(130件)が個人発表、約1割(13件)がグループ発表でした。発表内容をざっくりと分類し多い順に並べると、歴史(15件)、教育(12件)、開発・国際協力(10件)、民族衣装・染織・染色(9件)、地域(8件)、言語(8件)、情報化・民主化(8件)といったものが上位を占める結果となりました。

参加者は合計1,500人以上。年度別では唯一300人を超した2018年度が一番多く、さらに各回別の参加者数で一番多かったのは、「ブータン青年海外協力隊30周年 平山修一『現代ブータンを知るための60章』改訂版発刊記念セミナー」と題してJICAブータン事務所と共催した第98回勉強会(12月24日)の69名でした。

全100回のうち60回は東京都での開催で、その内訳は早稲田大学(47回)、JICA市ヶ谷ビル(9回)、お茶の水女子大学、日本ブータン友好協会事務所、カラオケビッグエコー人形町店、港鮨(各1回)。開催場所という点では、場所が見つからず急遽カラオケ屋さんで開催した第47回勉強会と、東京都の離島・大島のお寿司屋さんで開催した第65回勉強会が特に印象に残っています。また11回はティンプー県での開催で、その内訳はブータン日本語学校、津川智明さんのご自宅(各4回)、カフェ・ヒマラヤ&ベーカリー(2回)、颯らーめん(1回)。特にブータンでの開催の際は会場探しにいつも苦労していて、快く会場を提供してくださった青木薫さん、津川智明さん、颯らーめんオーナーのツェリンさん・櫻井清香さんご夫妻には感謝してもしきれません。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

ブータン勉強会は、2019年度も「ブータン」というキーワードで集った繋がりを維持・拡大させながら続けていきます。友好協会会員の皆さまには引き続き多いにお世話になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。毎回の勉強会の開催案内や報告は、日本ブータン研究所のウェブサイトにてご確認ください。

日本ブータン研究所ウェブサイト
http://www.bhutanstudies.net/

※日本ブータン友好協会『日本ブータン友好協会会報 ブータン』第143号、5-6頁より転載。