日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS

高級ホテルで異文化体験

早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師 平山雄大

2011年12月18日から19日にかけて、ブータンの105回目の建国記念日(ナショナルデー、12月17日)に合わせて国内線の定期運航がはじまりました。国内線の営業を始めたのは、1983年2月11宿泊・食事・移動等をパッケージ化し1泊最低200ドルを旅行者に課す公定料金制度を導入しているブータンですが、国内には、公定料金内では泊まることができない高級五つ星ホテルもたくさんあります。

その代表格は東南アジアを中心に贅沢・小規模リゾートを展開しているホテルチェーンアマンリゾーツ(aman resorts)によるアマンコラ。国内5ヵ所(パロ、ティンプー、プナカ、ガンテ、ブムタン)に点在するアマンコラを「コラ」(巡礼)して回るセレブな旅行者もいらっしゃいます。

以前アマンコラの客室を覗かせていただいたことがありますが、浴室が部屋の真ん中に設置されているという、やたらと開放的でアバンギャルドな作りに仰天しました。さすがです。

アマンコラ・ティンプーの客室

アマンコラ・ティンプーのダイニング

他にはジワ・リン(パロ、ティンプー)、ウマ(パロ、プナカ)、タージ・タシ(ティンプー)、ルメリディアン(パロ、ティンプー)、シックス・センシズ(パロ、ティンプー、プナカ、ガンテ、ブムタン※1)など。泊まるには敷居が高すぎる!私と海外実習科目「ブータンから学ぶ国家開発と異文化理解」の履修生たちは、とある日の昼下がり、ガンテ・ロッジ※2を視察しに行きました。

ガンテ・ロッジは、オグロヅルが飛来することで有名なワンデュ・ポダン県ポブジカ※3の中心地ガンテの丘の上にある外資系ホテルです。ミャンマーの古都バガンで気球遊覧観光を立ち上げたオーナーが、ブータンでの気球遊覧観光の可能性を探っていたところポブジカ谷に魅せられ、(オグロヅルの飛来に邪魔になる気球は諦め)ホテル建設を決意したそう。ミャンマーのカチン州最北端の町プータオに創建したマリカ・ロッジの経験をもとに着手し、2013年11月オープン。農家をイメージした「ファーム・ハウス・スイート」全12室。1泊950ドルから(!)。

ガンテ・ロッジのウェブサイト

ガンテ・ロッジ方面から眺めるガンテ・ゴンパ(寺院)

内部はまさに異空間。一言で言うと「ブータンの農家を国際的オシャレ感覚で100倍洗練させた感じ」です。私は以前『地球の歩き方 ブータン』改訂のための取材で訪れたことがありましたが、2度目の訪問でも、細かなところまで行き届いているこだわり・気配りに改めて唸らされました。贅沢すぎる空間を持て余し、スタッフさんの温かい心遣いに恐縮して逆に気を遣ってしまう私にとってはブータンの普通の農家のほうが100倍落ち着きますが、(お金を出せば)こんな選択肢もあり得るポブジカは、ブータンの中では観光開発先進地と言えそうです。

ガンテ・ロッジの客室

隅々まで説明してくださる優しいスタッフさん

宿泊棟。廊下も一味違います

ブータンには「ドツォ」と呼ばれる石焼き風呂があります。水を張った風呂桶の中にたき火で何時間も焼いて真っ赤になった石を放り込んで、その石の熱で湯を沸かすという手間のかかったお風呂ですが、ガンテ・ロッジはドツォも100倍オシャレ仕様になっています。別棟のスパに併設されたドツォには、何だかいろいろ付属キットがくっついており壮観!

ガンテ・ロッジのドツォ。浴槽は松の木

セレブ感満載のセレブドツォです

スパのおしゃれ具合に呆然とする履修生たち

入って正面にあるダイニングでは、中国系マレーシア人の料理長による多国籍料理を堪能することができます。心洗われるポブジカ谷の眺望と絵になりすぎるテラス席と美味しい料理の相乗効果!ダイニング内のブカリ(薪ストーブ)やテーブルに置かれたゲストノートのデザインも洗練されていて一味違います。

ダイニングからの眺め。ポブジカ谷を一望

絵になりすぎるテラス席

おしゃれブータン感。細かい点まで抜かりないです

このガンテ・ロッジ、客層は欧米人中心で日本人はかなり少なめ、というかほとんどいないとのこと。一方、日本人のポブジカでの農家ホームステイ体験率はかなり高いです。昔から旅行会社が主催するツアー等には組み込まれていることが多いですし、JICA草の根技術協力事業「ブータン王国ポブジカにおける地域に根ざした持続可能な観光の開発プロジェクト」(2011年5月~2014年10月)※4で、ホームステイの設立支援等が行われたこともその一因になっていそうです。

ポブジカに3泊していた私と履修生たちも農家ホームステイ中でしたが、「お茶だけなら…」とこの機会にガンテ・ロッジを最大限満喫させていただき、ささやかな異文化体験をしました。

ダイニングで談笑する履修生たち

お茶にもれなくついてくるホームメイドクッキー

※1 ガンテとブムタンは2019年中に開業予定。
※2 https://www.gangteylodge.com/
※3 https://www.waseda.jp/inst/wavoc/news/2019/03/18/4260/
※4 https://www.jica.go.jp/partner/kusanone/partner/bhu_01.html

WAVOCブータンコラム「平山雄大のブータンつれづれ(第38回)」より転載。
https://www.waseda.jp/inst/wavoc/news/2019/09/10/4773/