日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS
竹細工がお好き
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教 平山雄大
ブータンの手工芸品、と言われて、皆さんは何を思いつくでしょうか。例えば紙があります。ブータンには和紙に似た手漉き紙があり、贈答品を包んだりする際によく用いられています。漆器もあります。「ダパ」(蓋つき容器)、「ポップ」(杯)等いろいろな種類があり、良質なものは大変高価です。銀細工もあります。伝統舞踊で用いる木彫りの仮面も職人の手作りです。そして有名な織物。ブータンの織物に魅了され、訪れるたびに高級なものに手を伸ばしてしまい散財を繰り返す、という人はけっこう多いです。
今回取りあげたい手工芸品は竹細工、特に「バンチュン」(「バンチュ」「ポンチュー」等とも表記されます)と呼ばれる、身と蓋に分かれた丸いお弁当箱です。竹を編んで作られたもので、これに直接ごはんやおかずを入れ、蓋を閉めて持ち運びます。バンチュンに使う竹はユラという特殊な竹で、密封性が非常に強く、典型的なブータン料理と言える米&汁物(例えば、唐辛子のチーズ煮込み「エマダツィ」)を入れてひっくり返してもまったく漏れない優れもの!
最近はブータンでもZOJIRUSHIのものをはじめとした「近代的」お弁当箱が主流になり、お弁当箱としてバンチュンを使う人は少なくなっていますが、お茶請け、お菓子、果物等を入れたり、プレゼント用の入れ物にしたり…と汎用性は無限大!授業で使用する名札、ポストイット、USBメモリ等を入れてみたり、出張先で買ったおみやげを配る際に活用してみたり、はたまた懇親会参加費の徴収に…と、大学でも私の手元で活躍しております。なかなかどうして使い勝手が良いので、先日も、知り合いを通して職人さんに30個ほど注文してしまいました、笑。
大きさは直径10センチ程度のものから30センチ程度のものまでさまざま。開け閉めをしやすくするために、サイドに革をつけた豪華版もあります。外観のデザインがこれまた凝っていて(ずばりインテリア小物としてもどうぞ☆)、軽い!カワイイ!実用的!と三拍子揃った「小洒落たブータンみやげ」としても最適な一品だと思います。
ちなみにブータンには、バンチュン以外にも曲げわっぱ、酒容器、背負いかご、笠をはじめとした数多くの竹細工があり、人々の生活に密着し文化の一面を形成しています。竹細工に焦点を当てた日ブ比較研究を通して、日本とブータンの共通点・相違点を探ってみるのも面白そうです。
WAVOCブータンコラム「助教 平山のブータンつれづれ(第3回)」より転載。
https://www.waseda.jp/inst/wavoc/news/2017/01/25/2384/