日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS
たぶん、ガテモタブン
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師 平山雄大
もし「ティンプーで一番美味しいブータン料理のお店は?」と問われたら、私は「たぶん、ヤンキル(Yangkhil Restaurant)」もしくは「たぶん、ケルデン(Kalden Restaurant)」等と答えることでしょう。「じゃあ東京では?」と問われたら、やや被せ気味で「たぶん、ガテモタブン(Gatemo Tabum)」※1と答えます。「たぶんも何も、東京でちゃんとしたブータン料理を食べられるのはガテモタブンだけじゃないですか!」というツッコミを期待しつつ、私はこのガテタブファンのひとりです。
ガテタブ(と略している人をほとんど知りませんが…)ことガテモタブンは、2006年12月16日、ブータンの100回目の建国記念日(ナショナルデー、12月17日)に合わせて代々木上原の商店街の一角に誕生した小さなお店です。複数のオーナーで立ち上げられ、当初はあくまで「ブータン料理も楽しめるお店」でしたが、2011年半ばあたりからブータン色を前面に押し出し、ブータンの家庭の味を追求し続ける店長のもとでどんどんパワーアップしてきました。私もボランティアで、店が必要としているものをブータンから運んできたりしました。
ちなみに「ガテモ」はブータンの国語であるゾンカで「Where/ここはどこ?」の意味です。「タブン」は遊び心で「Bhutan/ブータン」のスペルをもじった由。つまり、店名は「ここはどこ?たぶん、ブータン……」ということです。斬新!
料理はどれも素敵で、食器類もかわいくインスタ映え街道まっしぐらです。味は、どうもブータンで食べるよりも美味しい模様(笑)。日本人の口に合わせているのか…と思いきや、エマダツィ等はときには本場ブータンより辛いレベル。なぜなら、ブータン産の生唐辛子/ブータン品種の生唐辛子が品切れのときには韓国産等の唐辛子を使用しているため。韓国産の唐辛子は、ブータンの唐辛子より辛いのです。これはやられました。でも美味しい!辛いのでごはんが進みます。おかわり必至です。
2015年11月20日、テレビ東京系「孤独のグルメ Season 5」第8話でガテモタブンが取り上げられました。「辛さのマシンガンパンチをもろに受けて、上機嫌になる五郎」※2に触発されてブータン料理を食しに来るお客さんが急増し、お店は一気にランチは行列・ディナーは予約がとりづらい人気店になりました。この番組のおかげで、唐辛子を野菜として使用するブータン料理の知名度は大幅に上昇したのではないでしょうか。
そういえばこの「孤独のグルメ Season 5」第8話、2006年・2007年のWAVOC提供オープン教育センター(当時)設置科目「地球体験から学ぶ異文化理解―ブータン王国での実践を通して学ぶ―」※3のブータン実習中にお世話になったブータン人ガイドさんが、ガテモタブンに居合わせたお客さん役で出演していました。そんな繋がりも嬉しいです。
私が担当しているWAVOC提供GEC設置科目「ブータンから学ぶ国家開発と異文化理解」の履修生や早稲田ボランティアプロジェクト「海士ブータンプロジェクト」(あまたん)のメンバーは、出発前にブータン料理の予行演習を兼ねて、もしくは帰国後にブータン料理が恋しくなってガテモタブンへと向かいます。ときには履修生各自の研究課題の発表会をしたり、同窓会を開いたりと少々騒がしくしてしまいますが、これからも変わらずお邪魔させていただきたいお店です。
※1 http://www.gatemotabum.com/
※2 https://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume5/backnumber/backnumber08.html
※3 2006~2008年度に開講されていた海外実習科目(担当教員:坂本達、兵藤智佳)。
https://www.waseda.jp/student/weekly/contents/2006b/104k.html
WAVOCブータンコラム「平山雄大のブータンつれづれ(第36回)」より転載。
https://www.waseda.jp/inst/wavoc/news/2019/06/06/4666/