日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS

GNH勉強会(第1回~第6回)報告

ブータンにおけるGNHの最近の動向を学ぶことを主目的に、GNH研究所のプロジェクト(分科会)として、2013年4月より毎月1回「GNH勉強会」を開催しています。1年間=全12回の開催を予定しておりますが、今回、前半となる第6回までが終わりましたので、ここに報告をさせていただきます。

●第1回GNH勉強会
・日時:2013年4月13日(土) 14:00~16:00
・場所:早稲田大学 16号館606教室
・「GNHの開発政策への適用」平山 雄大

●第2回GNH勉強会
・ 日時:2013年5月11日(土) 10:00~12:00
・ 場所:早稲田大学 16号館606教室
・ 「GNHの指標化」平山 雄大

●第3回GNH勉強会
・ 日時:2013年6月8日(土) 10:00~12:00
・ 場所:早稲田大学 16号館606教室
・ 「GNHの世界への発信」平山 雄大

上記の3回の勉強会は、2013年3月に開催されたGNH研究所東京定例会合での平山の講演「徹底検証 GNHの誕生と広がり」(ニュースレター第5号を参照)の続編として、「GNHの考えは、どのような段階を経て国家開発目標に組み込まれたのか?」、「「GNHの4本の柱」はいつ誕生し、どのような変遷を遂げたのか?」、「「国民の97%が幸せ」の根拠は?」、「なぜGNHを指標化する必要があったのか?」といった問いに回答を導き出すかたちで発表及び議論を行いました。第3回勉強会では、GNHの概念がブータンから世界へどのように発信されているのかを、国連幸福決議、幸福に関するハイレベル会合、国連持続可能な開発会議(リオ+20)採択宣言、GNH国際ワーキンググループの活動等最新の動向から理解するのと同時に、講演+全3回の勉強会の総まとめを行いました。

●第4回GNH勉強会
・ 日時:2013年7月14日(日) 10:00~12:00
・ 場所:早稲田大学 11号館504教室
・ 「GNHとGNH教育―ブータンにおける新たな教育の展開とその限界―(前編)」平山 雄大

近年、ブータン内外で話題になっているGNH教育(Educating for Gross National Happiness)を理解する前段階として、ブータンの近代学校教育史を紐解きました。ブータンにおける近代学校教育の定義と特徴、時期区分を再検討するとともに、第1次5ヵ年計画(1961年)開始以前の教育事情を明らかにしました。(第7回以降の勉強会にて続編を開催し、現在の学校現場におけるGNH教育に迫りたいと考えています。)

●第5回GNH勉強会
・ 日時:2013年8月10日(土) 12:45~14:45
・ 場所:ブータン日本語学校(於:ティンプー)
・ 「ブータン社会とブータン人の思考の変容―在ティンプー15年を通して―」青木 薫

初のティンプー開催となった第5回勉強会は、GNH研究所研究員でティンプー在住の青木薫さんに発表をしていただきました。7月13日の第2回国民議会選挙により新与党となった人民民主党(PDP)の「100日公約」をもとに、国民が今求めているものを分析しブータンの変化を考察しようという試みは斬新で、現地での経験をもとにされたお話を伺うことができたという点も含め、非常に有意義な勉強会となりました。

●第6回GNH勉強会
・ 日時:2013年9月21日(土) 10:00~12:00
・ 場所:早稲田大学 4号館202教室
・ 「徹底検証 第4代国王の演説・発言」平山 雄大

GNHという言葉の提唱者である第4代国王の考えを、国民に対する演説及び新聞・雑誌インタビュー等における発言を通して理解するという試みを行いました。その結果、ブータン国内における演説の中で第4代国王はGNH(及びそれに相当するゾンカ)という言葉は一度も用いておらず、一貫して重要性を指摘しているのは、「経済的自立の達成」及び「政府と国民が協働すること」であることが明らかになりました。

今後のGNH勉強会に関しては、詳細確定次第、GNH研究所メーリングリスト、ウェブサイト等を通してご案内させていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

文責 平山 雄大(GNH研究所 東京事務局)

※GNH研究所『GNH研究所 ニュースレター』第7号、5頁より転載。