日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS

NEW!2019年度ブータン勉強会報告

2019年度ブータン勉強会報告―第103回~第120回―

日本ブータン研究所 平山 雄大

気づいたら7年。あっという間です。発表者・参加者共に学び合える情報交換・意見交換・相互研鑽の場の創出を目指して2013年4月に始めた「ブータン勉強会」ですが、おかげさまでこれまで毎月欠かさず続けてくることができました。

実は年度末の2月から3月にかけて、新型コロナウイルスの影響でこの連続記録が途切れかけました。来日を予定していたブータン人の発表者が来れなくなり、また逆に私がブータンに行けなくなり、予定していた勉強会を続けざまに中止する必要が生じたのです。まあ連続記録が途切れても困る人は誰もいないのですが、結局は、皆さまのご協力のもと東京からティンプー、ティンプーから金沢と場所・人を変えて実施したり、オンライン開催に踏み切ったりしながら乗り越え今に至ります。

2019年度は例年通りブータンと島根県(海士町)でそれぞれ2~3回開催したのに加え、カンボジアのモンドルキリ州(ベトナムとの国境に接している遠隔地)の州都センモノロムとフィジーの首都スバで1回ずつ行ったのですが、「なんでまた、そんなところで?」と多くの方々からツッコミを受けました。ここで改めてその理由を説明しておきたいと思います。

まずカンボジア。かつてティンプーの伝統医療院で働かれていた高田忠典さんが、もう10年近くカンボジアの教育支援に携わられています。これまで高田さんが帰国された際や首都プノンペンでお会いするたびに「一度発表してください!」としつこく打診していたのですが、今回お誘いを受け一緒にモンドルキリ州の教育調査をすることになり、これを機に念願の高田さん発表の回が実現した次第です(第112回勉強会、2019年11月17日)。ただし開催場所は、カンボジアの中でも「ザ・田舎」という位置づけのモンドルキリ。さすがに日本からの参加者はいらっしゃいませんでした…。ご発表タイトルは「GNH政策とカンボジアの教育政策の比較検討」。大いに脱線しながら、いろいろなお話を伺うことができました。

フィジーでは友好協会でもお馴染みの須藤伸くんが働いており、私が押しかけたタイミングで勉強会を企画しました(第119回勉強会、2020年3月8日)。「フィジーでの経験を通してブータンを考察して!」というリクエストに快く応じ、、「ブータン及びフィジーを対象とした主観的幸福感の比較検討」という発表を準備してくれた須藤くんに感謝です。JICAフィジー事務所の方々や青年海外協力隊の皆さん、さらに調査でスバを訪問中の大学の先生や開発コンサルのかたも巻き込み、二国の共通点や相違点を夜遅くまで議論しました。

海外での開催を含めた勉強会の地方開催は参加者の皆さまの希望をもとに行うことが多いですが、このように単純に私が話を聞きたい人のところに押しかけて実施する、通称「おしかけ開催」も一定数あります。

東京での開催は、西岡里子さんが発表してくださった回「’64~’66 年頃の西ブータンパロと東ブータンへの旅の様子」(第110回勉強会、2019年9月29日)が特に印象に残っています。50年以上前のパロとブータン東部への旅について、貴重なカラー写真400枚をもとにお話しいただきました。また、約2年ぶりにご発表いただいた高橋洋さんの回「ブータン建国直前(17 世紀初頭)のチベット情勢」(第116回勉強会、2020年2月1日)には、非常に多くのかたがご参加くださいました。

新型コロナウイルスを巡る騒ぎは日に日に大きくなっています。この報告を書いている最中(3月20日)に、ブータン国内では2人目の感染が確認されました。よく勉強会を開催しているパロのオラタン・ホテルは、2週間の隔離措置のための施設として活用されています。またフィジーでも初の感染者が確認され、日本への直行便は3月27日を最後に5月末まで欠航、その他の国際線も週2便あるシンガポール往復便を除いて5月末まですべて運休するというニュースが飛び込んできました。

8年目の勉強会はどのようなスタイルで行こうか、このところずっと考えています。少なくとも騒ぎが収まるまで大々的にはできませんが、これを機会に形式を変えてみようかなとも思っております。毎回の勉強会の開催案内や報告は、日本ブータン研究所のウェブサイトに随時掲載します。引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。

日本ブータン研究所ウェブサイト
http://www.bhutanstudies.net/

※日本ブータン友好協会『日本ブータン友好協会会報 ブータン』第147号、6-7頁より転載。