日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS

名僧が迷走してメイソウで瞑想

早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師 平山雄大

株式会社名創優品産業(Miniso Industries Co., Ltd.)が展開するお店「メイソウ(MINISO)」。「日本人が知らない日本ブランド」として知られる、ユニクロとダイソーと無印良品を足して3で割ったような日本風味の生活雑貨屋さんです。2013年9月の広州市内での1号店開店を皮切りに中国で続々とオープンし、同時に凄まじい勢いで世界に進出しています。日本語ウェブサイトによると、「MINISO名創優品は世界86の国と地域の企業と戦略的パートナーシップ協定を締結し、世界中で3600店舗以上を展開しています」とのこと。※1

世界展開するメイソウ

「100%中国企業!」「実は法人登記は日本!」等さまざまなことが言われていますが、2014年7月には日本にも「逆上陸」しています。池袋本店をはじめいくつかの店舗はすでに閉店してしまいましたが、高田馬場店(早稲田松竹の近く)、イオンモール津田沼店等は今も営業を続けています。※2

私のメイソウデビューは2016年12月、海外実習科目「東南アジアの開発問題とNGOの役割」の引率中に訪れたラオス・ビエンチャンのタラートサオ・ショッピングモール店でしたが、ビエンチャンっ子たちは100%日本ブランドだと思って買い物していました。商品の日本語はよくある「謎日本語」が多く※3、記載されている本社の場所も怪しげ。かつては「100%日本品質」を前面に押し出していたようですが、このときは「ジャパンファストファッションデザイナーズブランド」とどこか巧妙な(?)謳い文句。

ちなみに現在は、中国語ウェブサイトでは「日本设计师品牌」、英語ウェブサイトでは「Japan-based designer brand」となっております。※4

タラートサオ・ショッピングモール店(ラオス・ビエンチャン)

同上。日本のお店っぽい清潔で明るい店内

同上。ウェブサイトもめちゃめちゃ「.jp」推し

2019年、そんなメイソウがブータン進出を果たし、3月11日にティンプー店が、9月2日にパロ店がオープンしました。それより前に、商業都市プンツォリンの国境を挟んだインド側の町ジャイガオンには、メイソウの偽物というか強力ライバル(?)の「ゆうやと(USUPSO)」(広州優宿企業管理有限公司が展開)※5が進出しゆうやとジャイガオン店※6ができていましたが、こちらは本家大元(!?)です。

パロ店のオープニングスタッフ募集

ティンプー店の場所は中心通りノルジン・ラムの一本裏手にあるホンコン・ストリート、パロ店の場所はノルブリンカ・ショッピング・モールの1階。どちらも市内の中心地です。当初「MINISO」と「メイソウ」が併記されていたティンプー店の看板は、規定に引っかかり日本語表記のほうがゾンカ語表記に改められました。

店内はまさに日本。お客さんはあの日のビエンチャンっ子たちと同様、100%日本ブランドだと思って買い物しています。レジ正面には大きく「Japanese Designer Brand」の文字。店内には共同創業者だという、文化服飾学院出身のデザイナー三宅順也氏のポスター。商品のタグには「Manufactured for: Miniso Industries Co., Ltd. (Add: Ginza Kyoya Bldg. 7/F, 3-10-7, Ginza, Chuo-Ku, Tokyo Ginza, 104-0061, Japan)」「Designed by Japan」「www.miniso.jp」。さらにバーコード番号も「45~」(日本の国番号は49または45)。これで日本発じゃないと思うほうが難しい状況です。何だか私も「あれれ?実は日本ブランドなのかも」と思いはじめてきました…笑。

ティンプー店外観

レジ正面には大きく「Japanese Designer Brand」の文字

中国色は一切なし。それがメイソウ

正直に言うと、店の雰囲気や商品の品質はけっこう洗練されています。白を基調とした内装はユニクロを猛烈に意識している模様。かつての謎日本語が散りばめられた謎商品は姿を消し、ダイソーよりも、さらには無印良品よりもオシャレかもしれない商品が整然と並べられています。ちなみに店内はブータン色もゼロ。店員さんの制服が民族衣装ではなく洋服なのが(ブータン的には)斬新です。

オシャレな内装と整然と並べられた商品

右上がデザイナー三宅順也氏のポスター

キラ(民族衣装)のお客さんがいなかったら、ブータンなのかどこなのか分かりません

メイソウは日本人からは「パクリだ!」「インチキだ!」と非難され続けていますが、例えばブータンの人気雑誌『YEEWONG』と組んで広報をしたり※7、SNSで積極的に顧客を巻き込んだり、その広報戦略や中国色を一切排除したしたたかすぎる日本推しブランド戦略から学ぶことも実は多いのではないかと思います。

中南米やアフリカを含めた全世界的に見ると、メイソウはとっくにユニクロもダイソーも無印良品も追い抜いて「グローバルブランド」の地位を確立しているのかもしれません。ウルトラライトダウンジャケットを筆頭にユニクロ製品が流行りに流行っているブータンにユニクロは進出していません(進出できていません)が、設立からたった6年でメイソウはティンプーとパロに1店ずつ。その事実だけでも脅威です。でもって、次はプンツォリン店だ!との話もあるとかないとか…。

【参考】
・ユニクロ:国内827店、海外1,241店(合計2,068店)(2018年8月)
・ダイソー:国内3,367店、海外2,175店(合計5,542店)(2019年3月)
・無印良品:国内420店、海外517店(合計975店)(2019年2月)

 Webメディア運営者の若旦那氏は、コロンビア・メデジンで訪れたメイソウに驚愕し「メイソウは日本の価値の伝え方が日本企業以上にうまい」「メイソウはどの日本ブランドよりも日本的」と分析していますが※8、なかなかどうして私も同感です。

化粧品コーナーは特に人気あり

テスターの多さに定評あり

スマホアクセサリーもよく売れています

メイソウは入口付近に化粧品コーナーを設置し、テスターを惜しみなく揃えて「若い女性で賑わう店内」を演出する戦略を採っていますが、ブータンでも化粧品コーナーは混み合っています。さらにスマホアクセサリーや、ワイヤレスイヤホン、ヘッドホン、ポータブルスピーカー、3D-VRゴーグルといった製品もけっこういいお値段ですが売れている様子。

ブータンで、メイソウはこのまま人気ブランドとして確立するのか。近いうちにプンツォリン店もオープンするのか。さらにライバルゆうやとのブータン進出はあるのか。これからの展開を引き続き追っていきたいと思います。

※1 http://www.miniso.jp/JPN/Shop
※2 https://miniso.tokyo/shop-list/
※3 メイソウの商品や「謎日本語」に関してはこちらに詳しいです。
http://uramayu.com/blog/2015/07/miniso.htmlhttps://petit-plus.net/miniso-japan-vancouver/
※4 http://www.miniso.cn/Brandhttp://www.miniso.cn/EN/Brand
※5 http://www.usupso.com/
※6 https://www.youtube.com/watch?v=OqP93kmvXLg
※7 https://www.youtube.com/watch?v=Fm6NqJOpkb8
※8 https://kaigaihanno.com/kaigai/miniso/

WAVOCブータンコラム「平山雄大のブータンつれづれ(第40回)」より転載。
https://www.waseda.jp/inst/wavoc/news/2019/09/30/4839/