
日本におけるブータン研究の基盤形成を目指して
Japan Institute for Bhutan Studies: JIBS
特集 国際ブータン学会第2回大会(ISBS Kyoto 2025)参加報告
日本ブータン友好協会事務局長 平山 雄大
2025年2月4日~6日の日程で、京都大学にて国際ブータン学会第2回大会(The 2nd International Conference of the International Society for Bhutan Studies、ISBS 2025 Kyoto)が開催されました。
1993年6月20日発行の友好協会会報第38号に、「第一回ブータン国際学会に出席して」という栗田靖之先生による報告が掲載されています。この大会は1993年3月22~23日にロンドン大学で開催されたものですが、その後続かず立ち消えとなっていました。そして2015年11月4~6日にパロで開催されたGNH国際会議にて、オックスフォード大学のサビーナ・アルカイア先生、京都大学の熊谷誠慈先生らを中心に改めてブータンに焦点を当てた国際学会が立ち上げられ、2019年1月8~10日にオックスフォード大学にて「国際ブータン学会第1回大会」が開催されました。今回京都大学で開催された第2回大会は、その流れを組むものです。
大会開催中は、ブータン、日本各地、そしてイギリス、オーストラリア等その他の国々から京大に集結した研究者・実務家が、合計50件以上企画された基調講演及び研究発表から学び、質疑応答や意見交換を通してブータンを巡る諸相をさまざまな角度から考える、もしくは捉え直す貴重な空間が生まれていました。前日の3日(月)に行われたレセプション、翌日の7日(金)に行われた国際シンポジウム「The Future of Well-being」、そして大会途中に企画された知恩寺及び銀閣寺へのエクスカーションも含め、非常に充実したプログラムでした。準備・運営を一手に担ってくださった実行委員の先生がた、スタッフの皆さまにこの場を借りて改めて御礼申し上げます。
私は査読委員会の一員として開催前年より少しだけお手伝いをさせていただくとともに、「How Can “PBL for GNH” Programs Working with Local Communities Lead to the Development of a Sustainable Society?」、「Bhutanese Folk Song Tsangmo as Happiness Media for Future Education」と題する共同発表に関わらせていただきました。参加者の皆さまの研究発表はどれも興味深い内容でしたが、オランダのライデン大学図書館に眠るブータン関連史料に関するサムテン・イシ氏の発表「Copies of Bhutanese Royal Missives in the Van Manen Collection at Leiden University」は、自身の興味関心に合致し特に印象に残っています。
栗田先生や月原敏博先生をはじめとした普段対面でお会いする機会の少ない友好協会の先輩がた、そして懐かしい面々や初めましての方々との交流を通して、コロナ禍の中で恥ずかしながら忘れかけていた対面開催の国際学会・シンポジウムの意義、そして面白さを再確認する場ともなりました。最終日の夜、京都大学の若手研究者の方々(今回、参加報告をこの会報に寄稿してくださった石内さん、菊川さん、八尾さん、森下さん)と一緒に近くの居酒屋に繰り出した飲み会も、楽しく充実したひとときでした。 ちなみに、6日(木)夜に開催された閉会セッションでは、サビーナ先生より「第3回大会は2028年にブータンにて開催したい」旨の意気込みが語られました。
※日本ブータン友好協会『日本ブータン友好協会会報 ブータン』第166号、4頁より転載。